英語の発音 基礎の基礎

講習などで時間のあるときに、発音速習講座をするのですが、以下はその講義メモです。
メモなので情報はやや断片的です。

言語の本質は文字ではなく音

世界の言語数:約7000
文字をもつものはそのうちの約400

母音と子音

母音:日本語でいう「あ・い・う・え・お」の音。肺から空気が邪魔されずに出てくる音。口の開きや舌の位置で響きを変えている。英語では10-20種。

子音:肺からの空気が唇・舌などに邪魔される音。黙らせたいときの「シーッ!」が子音だけの音。英語では約24種。

音節

音節:子音と母音が合わさったまとまり。

日本語では、おおざっぱに言うなら仮名の一文字と考えてもよい。
俳句や短歌で5・7・5などと数えるときの単位に似ている。

古池や蛙飛びこむ水の音
ふるいけや かわずとびこむ みずのおと
fu ru i ke ya ka wa zu to bi ko mu mi zu no o to

日本語の音節は「子音+母音」が基本。

英語の音節は「子音+母音+子音」が多い。
pet, book, cap

単語の最後に余計な母音をつけずに、子音で終わらせる
petto でなく pet
bukku でなく book
文字数と音の数は必ずしも関係しない

子音連続: strike, strength

単語と単語のつながり

take, taking, take it
英語を書くときは単語と単語の間を離すが、発音するときは関係なし。

got off, at Osaka, big box, corned beef, at nine, sad news, hot tea, big game, bus stop

【非標準】 c’mon (come on), kinda (kind of), wanna (want to), hafta (have to)

What time is it now? が「掘った芋いじるな」に聞こえる。「車夫英語」で検索!

語アクセント

単語のなかで最も目立つ音節はアクセントをもつという。アクセントのある音節は高く、強く、長く発音する。
アクセントのない音節は低く、弱く、短く発音する。(弱母音シュワ ə)

chocolate チョコレッ
vanilla ヴァニー
コンニーチワ アリガートー

文アクセント

弱い単語(機能語):文中で弱く読む、文法的役割をになう。

【冠詞】 a, an, the
【接続詞】 but, and
【前置詞】 to, for, from, at
【人称代名詞】I, she, he, it
【関係代名詞】that, which
【助動詞】can, will, should
【be動詞】am, is, are
※ 場合によっては aとofとat, theとthereなどが同じ発音になる

強い単語(内容語):文中で強く読む、文の意味内容を伝える。
名詞・動詞・形容詞・副詞,…
助動詞の否定形 can’t, shoudn’t なども含む

She came to our house and began to cry.
Mary says she wants to see him.

英語のリズムはアクセントがほぼ等間隔に現れる。

子音と母音、どっちが大事?

もちろんどっちも大事だけど!
子音が主に意味を担う。母音は方言によって変わるが子音は変わらない。
アルファベットの元祖(フェニキア文字)は子音のみしかなかった。

母音が大事になってくるのは英語レベルが上がってから!
理想をいえば両方だけど、まず子音から!

子音:肺からの空気が邪魔されて出される音。
邪魔される場所(調音器官):唇、歯、歯茎、口の天井部分など
邪魔の仕方:閉鎖、摩擦、接近など

要注意の子音

泣く泣く4つだけに絞ると、r, l, f, v 。
r (半母音のひとつ)
舌を反らせて、口の中の天井に近づける。決して触れてはいけない。口はややすぼめる。ただしこれ以外にも発音の仕方がある。
right ゥライト(右、正しい)
rice(米)

l (側面接近音)
舌先を歯茎にしっかりつけて、舌の側面から声を出す。
light ライト(光)
lice(シラミ)

語末や、あとに子音が続くときのlはゥ、ォのようになる。暗いlという。
call, milk, film

f (無声唇歯音)
下唇の内側に、前歯をそっとあてて、隙間から無理やり息を出す
food, feel, film

v (有声唇歯音)
fと同じ口の形で、声もだす。
voice, vote(投票する) vest(着るベスト)

その他もろもろ

サ行は注意!
see(スィー), she(シー)
sin(スィン、罪), shin(シン、すね), thin(薄い)

イの段の音は結構あぶない (硬口蓋化) knee, team
nは舌をくっつける!one, since スィンツ
摩擦は不要 he, who

参考文献

英語音声学研究会, 大人の英語発音講座, NHK出版, 2003
神山孝夫, 脱・日本語なまり:英語(+α)実践音声学, 大阪大学出版会, 2008
竹林 滋, 斎藤 弘子, 英語音声学入門, 大修館書店, 2008